発生
耳介は、下顎と上顎のもとになる第一鰓弓(だいいちさいきゅう)と第二鰓弓(だいにさいきゅう)から出来てきます。
詳しくは以下のような器官がそれぞれ発生してきます。
第一鰓弓:上顎骨・側頭骨の一部・下顎骨/咀嚼筋/ツチ・キヌタ骨/三叉神経
第二鰓弓:側頭骨の一部/顔面表情筋/アブミ骨/顔面神経
第一咽頭嚢:耳管・鼓室(中耳腔)・鼓膜の中耳側
第一鰓溝:外耳道・鼓膜の外耳側
1885年ヒスという医師が胎生6週目に第一鰓弓と第二鰓弓にそれぞれ3個ずつ、合計6個の耳介結節が生じ、これらから耳介が形成されると報告しました。1934年ウッドジョーンズらは耳介の大部分は第二鰓弓から生じ、わずかに耳珠のみが第一鰓弓から生じると述べました。1982年に見寺らが第一鰓弓から耳珠、耳輪脚、対輪が生じ、第二鰓弓から耳輪の大部分、耳垂が生じると報告しました。1994年中津留らはラット全胚培養法から耳珠、耳輪脚を含む前半分が第一鰓弓、耳輪、対輪、耳垂を含む後半分が第二鰓弓由来であるとしました。いずれにせよ、第一鰓弓と第二鰓弓から耳介は形成されてくるということです。この発生のプロセスの関係で、下顎が小さかったり、顔面神経の部分麻痺が生じる半側小顔面症症(Hemifacial
microsomia)が生じてきます。