やけど(熱傷、ねっしょう)

やけど(熱傷、ねっしょう)は外界に対する皮膚のバリアが破壊されるけがの一種です。
外界の細菌が体内へ入りやすくなり、高熱が出ることがありますので、
やけどの専門医の診察を必ず受けて下さい。
やけどにはくれぐれもご注意を!!

ご質問、お問い合わせ等はsterada@big.jpまでお願いいたします。
都合によりお返事に時間がかかることがありますので、ご了承下さい。 
Up-dated on 2005.4.17
Top Page

救急処置
 冷たい水道水で直接、またはタオルに浸けて冷やして下さい。
 30分くらいで十分です。

 広い範囲で、やけどを受けた場合は、119番に電話をしてください。
 時間外(夜間や休日)で当番医がわからない場合も、速やかに119番に問い合わせてください。
 入院し、専門的な治療が必要な場合があります。
 
注意点
 手や足では冷やしすぎないように。30分も冷やせば十分です。

 水泡ができていたら、破らないようにして下さい。
    市販の軟膏は塗らないで下さい。

  清潔なタオルやガーゼなどでくるんで、できるだけ早く最寄りの総合病院
   (形成外科、皮膚科、外科)もしくは、外科系の一般病院を救急で受診して下さい。
 全日本病院医院ネットワークで検索
 
成人の原因
 主に、やかんや鍋のお湯をこぼして、熱いお湯を浴びることが多い。

 天ぷらをしている時に、誤って天ぷら鍋をひっくり返してしまう。

 ネグリジェの袖に、コンロの火が引火する。
   そでぐち熱傷といいます。ひらひらしている衣服は特に注意してください!!!

 火災で、熱い煙を吸った場合も、気道熱傷といって、
   気管にやけどが生じることがありますので、病院を受診してください。
 
小児の原因
 湯沸かし器や電子ジャー、加湿器の吹き出し孔に手をついて立ち上がろうとする。

 テーブルの上においておいたやかんやポット、ラーメンに触って、顔の上に熱いお湯がかかる。
     最近、特にこのケースが多いので、つかまり立ちを始めたお子さんをお持ちの方は注意してください。

 花火に触れる。

 現在はあまりなくなりましたが、お湯の温度調整ができなかった昔は、
 ふたの上で遊んでいて、追い炊きで熱くなった風呂に落ちてしまうことが多かった。
 
老人の原因
 入浴中に脳梗塞などで意識がなくなり、熱湯に当たる。
 追い炊きで温度調整ができない昔の給湯器を使っているご家庭は特に注意してください。

 湯たんぽやこたつに長時間同じ姿勢で当たり、足に低温熱傷を受傷する。

 電気ストーブやハロゲンヒーターに接近して、新聞などに引火する。
 
やけどの程度
 I度熱傷、II度浅達性熱傷、II度深達性熱傷、III度熱傷と大きく4種類に分類されています。
 
I度熱傷
 日焼けと同じように皮膚が赤くなるだけで、2、3日で元通りになります。
 
II度浅達性熱傷
SDB
superficial
dermal burn

 水泡ができます。
 ピン プリック テストは陽性です。
  ピン プリック テスト:注射針で皮膚の表面をちょっとだけチクッと刺し、痛みを感じるかどうか調べる検査

 はじめはU度浅達性熱傷(SDB)でも、発熱など細菌感染を伴うことによって、深い熱傷に移行することがありますので、
  広範囲の場合は、入院して注意深い観察が必要になります。

 消毒、軟膏治療によって
2週間程度で上皮化して、治ります。

 最終的に痕は残りませんが、皮膚の赤味が続きます。
 紫外線に当たらないように日焼け止めクリームを塗って下さい。
 一時的に茶色く色素沈着を来すことがありますが、
 アフタケアをしていれば、1年くらいかけて徐々に薄くなってきます。
 
II度深達性熱傷
DDB
deep
dermal burn

 水泡ができたり、すぐ破れたりします。
 水疱が破れた皮膚は白っぽくなっていることが多い。
 ピン プリック テストは陰性です。

 消毒や軟膏治療を行っても、2週間以上経っても治りません。

 広い範囲の場合は、皮膚移植の手術が必要になります。
 治った後もアフターケアが大切です。
 残念ながら、傷あとが残ります。
 
III度熱傷
DB
deep burn

 皮膚が白っぽくなったり、黒くなったりします。
 ピン プリック テストは陰性です。

 皮膚移植の手術が必要です。
 治った後もアフターケアが大切です。
 残念ながら、傷あとが残ります。
 
アフターケア
 T度熱傷でも治ったあとが一時的に赤くなります。場合によっては茶色になります。日焼け防止が必要です。

 U度浅達性熱傷では必ず、治ったあとが茶色になりますので、
  日焼け止めクリームを塗布するなどして、日焼け防止が必要です。

 U度深達性熱傷では、肥厚性瘢痕やケロイドを形成することがありますから、
  日焼け防止に加え、スポンジ圧迫療法やトラニラスト(商品名:リザベン)内服療法が必要になります。
  適切なアフタケアなどの治療を行っても、ひきつれなどの後遺症がひどくなる場合は再度手術を行うことがあります。

 V度熱傷では、皮膚移植や皮膚を採取したドナー部位が完全に上皮化しても、
  衣服にこすれることなどでびらんが生じやすい状態がしばらく続きます。
  皮膚を移植した部位や皮膚を採取した部位に、肥厚性瘢痕やケロイドを形成することがありますから、
  日焼け防止に加え、スポンジ圧迫療法やトラニラスト(商品名:リザベン)内服療法が必要になります。
  適切なアフタケアなどの治療を行っても、ひきつれなどの後遺症がひどくなる場合は再度手術を行うことがあります。

リンク
日本熱傷学会

   火傷の広場 

  がんばれ太田哲也

  熱傷フェニックスの会

日本熱傷協会
 
海外リンク
  American Burn Association (ABA)

  Cool the Burn

  Shriners Hospital for Children
 やけどを受けた子供たちのためのシュライナー病院
 シュライナー財団により小児熱傷はすべて無料で行われている素晴らしい病院
 

Update 2005.4.17
サイト管理者:寺田伸一(日本熱傷学会認定医)
All rights reserved to Shinichi Terada, 1996-2005